
今回は、
- 統合失調症患者の家族がすべき対応
- 家族ができる対応の限界
- 家族として願うこと
について書いていこうと思います。
わたしと統合失調症に関しては、こちらの記事をご覧ください▶家族(兄弟)が統合失調症になった
もくじ
家族(親や兄弟)ができる最善の対応をしよう
前回の記事の続きになってます
前回の記事はこちら▶100人に1人『統合失調症』という病気と再発の怖さについて
家族が統合失調症を患ったら、まずは毅然とした態度をとることが大事
親であるならなおさら
怖いのは、『嫌われたらどうしよう』『恨まれたらどうしよう』『子供がかわいそう』という感情で判断が鈍ることです
自分や周りが我慢すれば面倒なことにはならない、こうなってはダメ
ダメなものはダメ、おかしいことはおかしいと、はっきり態度と言葉に表すことです
他の親族やすでに独立した子どもに現状を伝え、情報を共有すること、協力を求めることは大事です
しかし、大変な状況に巻き込んではいけません
『情報を共有し、協力を求めること』と『巻き込むこと』は、似ているようですが意味がまったく違います
このことを忘れないでください、共倒れになってしまいます
また統合失調症の本人が、通院や入院に応じてくれればいいのですが、ダメだった場合は、まずは地域の保健所に連絡を取りましょう!
正直、保健所に過度な期待は禁物ですが、外部への相談と助けを求めることをやめてはいけません
孤立しては絶対にダメです!
どうしたらいいだろうと調べて、ここまで辿り着かれたあなたです
藁にも縋る思いかと思います
現在の日本では、家族の依頼でも強制的に病院に連れていくことはできません
そこに辛さを感じる日々なのはとてもよく分かります
行政にがっかりする気持ちもとても強いでしょう
でも、ぜったいに動き続けることを止めてはいけませんよ!
また、地域には家族会というものもあるので、早い段階で会に相談するのもありでしょう
勉強会というものもありますし、何より同じ悩みの人とお話ができるので、心が軽くなるはずです!
情報を集め、行動すること
初期の段階や、症状が落ち着いた頃に大事なのは『平和な時期に情報を集めること』です
再発したら、疲弊してそれどころではありません
1日1日祈るように時が過ぎるのを待つばかりの日々では、情報を探す気力はありません
そこまで頭が回りません
なので平和な時期に、万が一の再発に備えて情報を集めておいた方が良いでしょう
もしあなたひとりでの情報収集が難しいようなら、先述したように、親族や他の子どもに協力を仰いでみるのも手です
具体的には、
- いま通っている病院に不安な点がある場合は、評判のいい医者・病院を探す
- 家族会に相談していなければ、家族会について調べておく
などです。
わたしの兄弟が病識を持てたのは3回目の入院の後です
その退院後、『もしまたあの病院だったら、きっと『またここに入れされられた』って恨んでたと思う』
『この病気を受け入れてなかったと思う』と言っていました
1回目と2回目は自宅から近い、すぐに入れるけど口コミがあまりよくない病院でした
3回目は強制的に連行された時に入った病院なので、そこは見つけたというよりたまたまの運なのですが、自宅から1時間以上離れた場所にある病院でした
ここの先生やプログラムが良かったらしく、ここでの入院で初めて病識が持てたのです
ただ、ここの口コミはあまりないので、口コミを主たる判断材料にはできないのですが、もしいま通っている病院に不信感があるなら、他の場所を探すのも大事です
不信感がないようなら先生を信じて、『家族ができることは何か』、『本人が気を付けるポイントはどこか』を聞いて実践していきましょう
家族(兄弟)として思うこと
わたしは、精神疾患について広く知れ渡ってほしいな、と思います
病気のことだけでなく『なったらどうすればいいのか』など前向きな情報と一緒に、周知されると尚良いと感じます。
そして、通院や入院に応じない患者に対しては、強制入院させられる制度があれば良いとも思っています。
以下では、そのことについて書いていこうと思います。
家族として願うこと1:精神疾患について学べる場を
まずひとつ目の『精神疾患の現状が広く知れ渡ってほしい』についてですが、統合失調症患者に対する社会の皆さんの目は、決して理解のあるものではありません
ただ、それはそうだろうな、とも思います
統合失調症の症状が症状なので、関わらないようにしようと思うのが普通です
要らぬ恨みを買うかもしれませんから、触らぬ神に祟りなしとするでしょう
そしてそれは正しい判断です
でも、知ってほしいとは思います
わたし自身、患者を家族に持ってはじめて知ることが多いです
誰だってきっと、身近にかかっている人がいないと、自分とは関係ない話だと思うでしょう
でも知ってほしいと、広く知れ渡ってほしいと思います
精神疾患だけではありません
不幸な出来事や先天性の病気で、いわゆる『健常者』の枠から出ている人は大勢います
でも多くの『健常者』はその存在と接することなく、生活しています
わたしは義務教育の中で、そういったハンデを持っている方と、接して学ぶ機会があってほしいと思います
人生何が起こるか分かりません
いつか行く道かもしれません
その道が、差別や偏見、無理解にあふれる道であってほしくありません
辛いことがあってもその先に希望があり、希望に続く道しるべだってある、そういった社会であってほしいです
ハンデに対して社会の理解が浸透していれば、精神疾患にかかったとしても『そういう事もあるよね』と、本人も気が楽になると思うのです
社会・本人双方に、もっと現状を受け入れる余裕があるといいなと思います
奇異の目で見ることや、理解を示せないのは、無知からくることの方が多いと思います
幼いころから『当たり前』の種類がたくさんあることを学んでいければ、社会はやさしい形になるのではないでしょうか
家族として願うこと2:強制入院させられる制度を(移送制度について)
次に、ふたつ目の『通院や入院に応じない患者に対しては、強制入院させられる制度を』についてお話します。
これは、兄弟の3度目の入院までの経緯から、切に願うものです。
いくら警察に訴えてもダメ、保健所に相談してもダメ。
『これは誰かが死ぬか事件でも起きない限り、どこも動いてくれないのではないか』と、気が気じゃない時期がありました。
警察にしろ保健所にしろ、『家を壊したり人様に迷惑をかけているから、病院に連れて行ってほしい』と言っても、公的機関は動いてくれません。
『人の家に訪問してストーカーまがいなことをしている』、『人に迷惑をかけているのだから確保してほしい』と家族が言っても警察は動いてくれません。
暴力沙汰でないからか、警察の目の前であったとしても、迷惑をこうむっている側の人が警察に届けてくれない限り、連れて行ってはくれないのです。
どうにかならないかと調べて知った『移送制度』も、保健所に聞いたら、私たちの地域では使えない制度でした
とても高額にはなりますが、民間の移送サービスもあります
もしお使いになるなら複数社に見積もりをお願いし、どこの医療機関に繋いでくれるのかも、あわせて確認されるといいかと思います
この時はじめて、住んでいる地域によって、受けられる行政サービスに差があることを知りました
また変な話ですが、私たちは迷惑をかけている方に、何度も警察に訴えてほしいとお願いしていたのですが、警察に言ってもらえることはありませんでした。
数日おきにピンポンしてきて、手紙や贈り物をしてくる近所の大人など気味が悪いはずなのに、いつも兄弟の話し相手になって贈り物を受け取るのです。
その後、謝罪しに行った家族にその贈り物を返す、という繰り返し。
兄弟が入院できたのは、兄弟が警察に手を上げたから、連れて行かれたという経緯があります。
わたしは良かったと思っていますし、他の家族も良かったと思っています。
むしろ警察の方には申し訳ない気持ちですが、それでも親は泣いていました。
頭ではわかっていても、我が子が暴れながら警察に連行されるなど、本来見たい姿ではありませんからね。
これをご覧の方の中にはもしかしたら、『あなたたち家族が連れて行けばいいのでは?』と思う方もいるかもしれません。
しかしそれは不可能です。
年老いた両親では、力の加減なく暴れる大人を、力でねじ伏せることはできません。
両親は何度も青あざを作っていましたし、家具も破壊されていました。
説得しようにも聞く耳を持たず、連れて行こうにも逃走します。
病院に相談しても、病院だって患者が来てくれなければ対応できません。
無事に1日が終わるのを祈る様な日々で、『誰かが死ぬか事件でも起きない限り、どこも動いてくれないのではないか』と本気で思っていました。
現在の制度について、理解できるところはあります。
訴えている家族が正しいとも限りませんし、患者にも人権があります。
保健所は人が足りていませんし、強制的に連れて行く人の安全についても、考えなくてはいけません。
連れられていく方の、心のケアだって考えなければいけないでしょう。
それでも、共倒れにならないよう、家族が救われる道がほしいです。
兄弟が不安定だった当時は、『この犯人は精神疾患を患っているのではないか?』という人のニュースを見るたびに怖くなりました。
地元での人身事故のニュースを聞くたびに、兄弟ではないようにと思っていました。
わたしは、社会の理解の浸透を願うと同時に、強制力のある入院制度を願ってしまいます。
まとめ
ひと昔前のアメリカでは、ロボトミーなどという悪魔のような手術をしていました。
そのころに比べ、精神疾患に関する研究は格段に進んでいるのだろうと思います。
その陰には、先生や研究者はもちろんのこと、たくさんの患者や家族の苦労があったのだと思います。
ほんとうに、頭の下がる思いです。
いまはいろいろな薬があって、合う薬に出会えれば症状もおさまり、普段通りの生活を送ることができます。
でも、いい医療機関(いい医者)に出会えなければ、そのチャンスも逃してしまいます。
兄弟は今、月1回に注射を打つだけで良いというところまで良くなりました。
持続性のある薬なので、月に1回の通院で良くて、しかも薬の飲み忘れも起こらない。
わたしの兄弟にはとても合いました。
それだって、これまでの研究の成果で受けられている治療です。
兄弟の苦しみも、私たちの苦労も、いつかの未来の誰かのために役立っているならいいなと思います。
統合失調症に効く特効薬はありません。
これは一生おつきあいする病気です。
ありのままの自分を受け入れて大切にし、周りに感謝する心を忘れずに、労わりあいながら生きていけたらと思います。
おすすめ:体験談の絵本
統合失調症にかかったHimacoさんという方の絵本で、当時やその後の心情が、優しいタッチの絵とともに丁寧に描かれています。
Twitterで綴っていたものを加筆修正し、絵本にしたものだそうです(*^▽^*)
『統合失調症ってどんな病気?』『患者には世界はどう見えているの?』を知る、入門書として良質な一冊ですよ。
統合失調症を患ったお話
【統合失調症を患ったお話】
Himaco (著)
水彩タッチの絵がとてもステキ。
淡々と、分かりやすく心情が描かれています。
作者の自分自身を客観的にみて、言葉にして発信できる強さにびっくりしました。
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統合失調症の症状は人によって千差万別なので、これも『たくさんある例のうちのひとつ』ではあり、Himacoさんのパターンにすぎません。
兄弟のパターンから見ると、とても受け入れが早く、周りに恵まれたのだろうな、と感じます。

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